囚われのおやゆび姫は異世界王子と婚約をしました。
穂純は隠していたナイフを両手に持ち、檻から飛び出しラファエルへと突っ込んでいった。それをラファエルは腰にさしていたサーベルを抜いて受け止める。キンキンッと刃同士がぶつかる音が部屋に響く。朱栞はそのうちに檻から抜け出そうと体に力を込めて起きようとする。が、足首の鎖はとれそうにない。
「もう!あんたは、本当に手がかかるわね」
「アレイ!」
「あんたを助けるのはラファエルが喜ぶからよ。あんたのためじゃないから」
「うん、わかってる。ありがとう」
柵の外にアレイが姿を現して、魔法で朱栞の鎖を解こうとした。
が、その瞬間にバリバリと空気が跳ねた。
「っ!!邪魔しないでよ!」
「それはこっちのセリフよ。セクーナがやっと捕まえた獲物なのよ。逃がさないわ」
それを邪魔したのは、穂純の契約妖精ランだった。
ランとアレイは激しく魔法を放ち合い、消えては魔法で攻撃し、当たりそうになると消える。そんな戦闘を繰り返した。
自分は守られている。そう実感する。
みんなは戦っているのに、自分だけは檻の中でただ倒れているだけだ。そんなひ弱なお姫様にはなりたくない。そう思っているだけではだめ。
朱栞は頭で必死に考える。
私にもできることはあるはずだ、と。