囚われのおやゆび姫は異世界王子と婚約をしました。
「さて、食事も済んだし。何から話しをしようか」
「あ、あのさっき話していた、私が大切な存在だというのはどういう事ですか?」
彼の言葉にしたその意味がどうしてもわからず、朱栞は自分から聞いてしまった。
その意味を理解するまで、いろいろな事を知らなければいけないのはわかっている。だが、自分が転生した存在がこの国ではどんな立場なのか。それをまず知りたいと思ったのだ。
「ちょうどいい時間になったね。シュリにそれを知ってもらうのは実際に見てもらった方がいいだろう」
ラファエルのそう言いながら部屋の窓を見つめる。つられるようにして朱栞はそちらに視線を向ける。すると、先程まの夕焼けが夜の闇によって小さくなっていた。ラファエルは、手を挙げると、部屋のランプが一斉に点火した。淡い光が部屋を照らし、薄暗さはなくなる。
魔法は本当に便利だな。そんな風に思った瞬間だった。
「え・・・何?!」
朱栞の体が急に光り始めたのだ。
白い光りはどんどん大きくなっていく。朱栞は自分の体を見つめた後、不安な視線のままラファエルへ向ける。だが、彼は何も驚いていない様子だった。
「大丈夫。だから、安心して目を瞑ってごらん」
「で、でも………!」
「まぶしさで目がやられてしまう。さぁ……。俺は傍にいるよ。いつでも君から離れない」
光りが大きくなり、ラファエルの姿は見えない。
彼の穏やかな口調だけを信じて、朱栞は目を閉じた。
体温が一気に上昇し熱さを感じた。が、しばらくすると、それも落ち着いてくる。