囚われのおやゆび姫は異世界王子と婚約をしました。
そういうと、カーネリアは弱弱しくも微笑み、自分からラファエルの方へ近づき、胸に飛び込んできた。今まで遊び相手にはなってきたが、そうやって甘えてくるのは初めてだったのでラファエルは驚いてしまった。
けれど、心が何故か温まり、嬉しいと思ってしまった。
守れなかったセフィーは娘をよろしく、と言っていた。
彼女の願いを守るためでもある。
けれど、この時からラファエルの自信がカーネリアを守りたいと強く願うようになっていったのだった。
それから数か月の間、ラファエルは仕事以外の時間は彼女と過ごすようになっていた。
カーネリアの父親は、妖精を調べる研究者だった。そのために森の中で過ごすことが多いという、少し変わった者だった。セフィーとも研究で訪れた深い森の中で出会ったという。彼女の死を嘆き、彼は一層研究に没頭するようになり、カーネリアは城で預かる事になった。
研究は国にとっても重要な事であり、彼の応援もしたかったが、カーネリアは寂しいだろうと、ラファエルは父親の代わりに共に時間を過ごしていた。
そんな事もあり、カーネリアはすぐにラファエルに懐いた。
「ラファエル、おかえりなさい!」
「戻った。カーネリア、今日はしっかり勉強はしていたか?」
「うん。先生に褒められたよ。でも、私とあまり年も変わらないラファエルは仕事をしているなんてすごいな」
「俺は王子だからな。しかたがないさ。で、今日はどこに行く?」
「海沿いがいい!」
「では行くか……」