囚われのおやゆび姫は異世界王子と婚約をしました。
38話「妖精と王子の赤い羽根」
38話「妖精と王子の赤い羽根」
しかし、穏やかな時間はそう長くは続かなかった。
ラファエルはカーネリアとの時間が、ずっと続くと思っていたが、そうは上手くいかないのだ。
「ハーフフェアリを異世界へ避難させる。決行は明日だ」
国王からその通達が来たのは、前日の昼過ぎだった。
それを聞いたラファエルは、大きなため息が出た。
カーネリアはシャレブレにとってかなり重要な存在だった。
だが、もしカーネリアがシャレブレ国外の敵対する国や、国内であっても反勢力のものになってしまえば、かなりの脅威になるのだ。そのために、カーネリアの存在はかなり重要なのだ。
そのため扱いが慎重である。
今はシャレブレで戦力が高いとされているラファエルの元にいるのが安全とされているが、ラファエルも異世界へ避難した方が彼女にとっては安全ではないかと考えなかったわけではない。むしろ、1番始めに思いついた方法だったかもしれない。
「やはり、カーネリアとは離れたほうがいいのか」
ラファエルは、そう呟きながらも離れたくない思いが押し寄せてくるのを感じた。彼女と離れてしまう事を考えると、とてつもなく悲しくなるのだ。