囚われのおやゆび姫は異世界王子と婚約をしました。
4話「王子、ため息をつく」
4話「王子、ため息をつく」
どうして妖精に転移したはずの体が、人間になっているのか。そんな疑問もあった。だが、今の事態を何とかするのが優先だった。
朱栞はすぐに体を横にして、胸に手を当てて裸を隠そうとした。突然、ラファエルの前で裸になってしまったのだ。恥ずかしさしか感じない。全身が真っ赤になり、羞恥心から瞳に涙も浮かんできた。
「……大丈夫、見ないようにしているよ。さぁ、これでいいはずだ」
「あ………魔法……」
ラファエルは申し訳なさそうにそう言うと、朱栞に手をかざした後、指で宙に何かを描いた。すると、朱栞の体が急に布で覆われ始め、そして、あっという間に赤色のドレスに変わったのだ。腰から上には、ビーズのような物だろうか、輝く石が縫われており、胸元は大胆に空いている。ウエストはリボンが編み込まれて、キュッと細くなるデザインだった。スカートの部分は細身でストンとストレートに落ちるもので、全体的に大人っぽいドレスだった。
「シュリには、赤も似合うね」
「……魔法が使えるなら、早くにして欲しかったです」
裸になってから、すぐに彼が魔法でドレスを着せてくれたのなら、恥ずかしい姿を晒す時間は少しは短くなったのではないか。そう思ってしまい、つい文句が口から漏れてしまう。王子に何を言っているのだろうか。そんな風に思いながらも、精一杯の主張をしたつもりだった。
涙目で彼を睨み付けると、ラファエルは苦い表情を見せながらも、笑っていた。