囚われのおやゆび姫は異世界王子と婚約をしました。
そのため、朱栞と先輩との距離はすぐに狭くなっていたように感じていた。
英語以外の教科を教えて貰ったり、試合で負けてしまってマネージャーである朱栞が泣いてしまった時も慰めてくれたりもした。
特別な扱いを受けていると思ってしまった浅はかな朱栞は、穂純が自分を好きでいてくれるんじゃないか。そんな自分勝手な気持ちを抱いてしまったのだ。
そして、告白をして、フラれた。
その時は、痩せてしまうほどにショックを受けた。
毎日泣いて過ごしていた。彼が卒業する時に告白をしたので、穂純と会う事がなかったのはよかったのかもしれない。けれど、それでも諦められなかった。
それからしばらく会う事はなかったけれど、穂純の事が好きで仕方がなかった。
会えなくても、穂純が心の中から離れることはなかった。
だからこそ、その思いが願ってこのシャレブレに呼ばれたのではないか。そう思えてしまうのだ。
「穂純さんに会うまで泣かない……よしっ、決めた」
朱栞は一人ベットの中でそう決意する。
寂しさもあるし、不安もある。
けれど、希望も大きい。
ラファエル王子は優しい。きっといろいろ教えてくれるだろう。それから、ここでの暮らしを考えていけばいい。
そして、自由になれたならば、穂純を探す度に出よう。
朱栞はそう心に決めたのだった。