囚われのおやゆび姫は異世界王子と婚約をしました。
「好きな事は?部活でマネージャーしていたサッカーかしら?」
「それもありますが、1番は絵本や物語を読むのが好きなんです。日本のものも好きですが、海外のものですと、変わった伝承や神話などもあるので。そう言ったファンタジーのようなお話が好きです。……だから、沢山の言葉を知りたいと思うのかもしれません」
「まぁ、素敵ね!スペインにもいろいろあるから知ってほしいわ」
「ファンタジーが好きか……ますます彼女はぴったりだな」
「ええ。そうね」
夫妻は微笑み頷きあっているが、全くその意味がわからずに首を傾げるが、2人はニコニコしながら朱栞を見つめるだけだった。
「じゃあ、夢は自分で絵本を描いてみる事かしら?」
「いえ、そんな!私は絵は得意ではなくて。……でも、世界の絵本を集めた小さな本屋さんとかは憧れます」
「そんな本屋さんがあったら行ってみたいわねー!外国のお客さんがいらしても、あなたなら対応出来るし、素敵なお店になりそう」
「そうやって働きながらも夢を語れる若者がいる事は心強いものだ」
白髪混じりの髪の伯爵は何度も頷きながら、そう言うと、言葉を続けた。
「私には朱栞さんよりも少し年上の息子がいるんだが。ぜひ、お嫁にきていただきたいくらいだ」
「……ぇ……」
「本当にそうね。何度もその話をしていたのよ。あの子にはあなたがピッタリだわと思っていたの。見た目はこの方と似てとてもかっこいいわよ。それにとても強いわ。私たちの自慢の息子なの。ぜひ会ってみない?」
突然の誘いに、朱栞は驚き目を丸くした。