囚われのおやゆび姫は異世界王子と婚約をしました。
それから、思いついたのが元の世界の物語を精人語で書いていくことだった。
そうすれば精人語の練習にもなるし、メイナに渡せば喜んでくれるはずだ。そう思って、朱栞は夜遅くまで机に向かっていた。
が、いつの間にか寝てしまっていたようだ。
「いい知らせを持ってきたけれど、少し遅くなってしまったね」
「ん………」
優しい声が聞こえる。
目を開けなければいけない。そう思っていても、昼間に魔力を使いすぎたからだろうか。体が思うように動かなかった。
すると、ふわりと体が浮いたような気がした。けれど、温かいぬくもりを感じると、また眠気が襲ってくるのだ。
「シンデレラ、か。君は俺のおやゆび姫だよ」
おやゆび姫。
そのお話もきっとメイナに話せば喜んでくれるはずだわ。
その声を聞いた朱栞はそんな風に思い、ぬくもりに手を伸ばし抱き着いたまま深い眠りについたのだった。