囚われのおやゆび姫は異世界王子と婚約をしました。
「な、なんで、ラファエルさんが」
妖精の体に戻った朱栞は、枕の上に寝ていたので、彼の顔が目の前にある状態だった。
驚きのあまりに後ずさりをしてしまい、危なく枕から落ちてしまいそうになった。
目の前で声が聞こえたからだろう。ラファエルは、「ん」と声を漏らし、瞼を震えさせ、目を覚ましてしまった。
「あれ、シュリ。おはよう」
「お、おはようございます。…どうして、私のベットにいらっしゃるのですか?」
「んー、あ、…そうだった。そのまま俺も寝ちゃったのか」
目を擦りながら眠る前の事を思い出そうとするラファエルは、少し考えた後に思い出したようで、にっこりと笑った。
「遅くに仕事が終わって、君にシュリに会いに来たんだ。話したい事があったんだ。けれど、君が机で作業をしたまま寝ていたんだ。そのままだと体も痛くなるだろうし、起きた時に落ちてしまいそうだったからベットに移動したんだけど。その時に君が俺の洋服を掴んで離さなくて。とりあえず話してくれるまで一緒に居ようかと思ったんだけど。そのまま寝てしまったみたいだ」
「す、すみませんでした」
寝ている時にはいえ、自分の行いに恥ずかしくなり、朱栞はその場で深く頭を下げて謝った。彼の顔を見る事が出来ずに顔を上げられない。
けれど、ラファエルはそんな事は気にせずに朱栞の体を優しく両手で持ち上げ、いつものように手の平に乗せてくれる。