囚われのおやゆび姫は異世界王子と婚約をしました。



 夕方になると婚約の儀のための準備が始まった。
 ラファエルも着替えなどの準備あるようで、朱栞の部屋から出て行ってしまった。けれど、それと同時に朱栞に着替えもスタートした。
 妖精の姿でも着替えは出来るので、ラファエルが新しく準備してくれたドレスに着替えた。そして、日が落ちてからメイナに髪をすいてもらったり、アクセサリーなどもつけてくれた。


 「わぁ、お綺麗です。シュリ様」
 「ありがとう。でも、こんなに華やかにしてしまっていいの。婚約だけなのに」
 「シュリ様のお披露目でもあるのです。今回、来た異世界人はどんな人なのか、きっと皆は噂でしか知りません。楽しみにされている方が多いと思います」
 「そう、ね。私は城の外には出ていないから」


 異世界人が来た事は、城の人以外にもわかる事らしい。
 見慣れない魔力が突然この国に舞い降りた。しかも、その力は増大なのだから、気になっている人々も多いだろうというのだ。
 記憶は持っているのか、それとも記憶を無くしているのか。どんな姿をしているのか。興味は様々だろう。
 人々が自分を見にやってくる。そう思うと今更に怖くなってきた。受け入れて貰えるのだろうか。城の人のように、ひそひそと噂話をされてしまうのではないか。そんな恐怖を感じてしまう。


 「シュリ様。そろそろ、参りましょうか。ラファエル様もお待ちです」
 「うん。……あぁ、そうだわ。メイナに渡したいものがあったの」



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