囚われのおやゆび姫は異世界王子と婚約をしました。
13話「妖精、婚約をする」
13話「妖精、婚約する」
「わぁ!とても似合っているね」
朱栞の部屋に入ってきたラファエルの目をキラキラさせて、そう褒めてくれる。
「普段のシュリも魅力的だけれど、今はいつも以上に素敵だ。俺の選んだドレスは、君のために作られたようだよ」
「……ラファエル様、いつも褒めすぎですよ。ですが、こんな好きなドレスを選んでいただいて…ありがとうございます」
「いいんだよ。シュリのためなら、国中の仕立て屋を探し回るよ。大変ではない、君の喜ぶ笑顔を見れるのなら、喜んでする」
「ありがとうございます。ラファエル様の正装のお姿もとても似合っていらっしゃいます」
彼はいつもとは違い真っ白なスーツのような服に身を包んでいた。光沢のある生地は一目で高級なものだとわかる。胸にはたくさんの勲章がつけられ、腰には銀色のサーベルがつるされていた。この国の正装は軍服っぽさもあるが、白色から王子様の雰囲気も感じられた。そんな凛々しさと清純さが感じられる正装は彼によく似合っていた。
「ありがとう。そう言って貰えると俺も嬉しい」
「あ、ラファエル様………」
ラファエルは朱栞に近づくと、抱き寄せ抱きしめてきたのだ。
朱栞の傍にいたメイナは頬を少し赤くして、驚いた表情を見せたがすぐに頭を小さく下げ、静かに退室をした。
婚約をする2人が抱きしめあうなど、メイナにとっては当たり前の事だったはずだ。けれど、朱栞とラファエルの婚約は契約であるのだ。
朱栞はどうしていいのか迷いながらも、ゆっくりとラファエルの体を押した。