囚われのおやゆび姫は異世界王子と婚約をしました。
「君に書簡室で地図を見せたけれど、シャレブレ国のシエレア領はシャレブレ国全域でも南の地域になるんだ。だから、1年を通して
暖かい気候なんだよ」
「確かシャレブレ国の首都は中央にあるでだよね?」
「あぁ、シャレブレは中央にある島国だよ。そして、その周りをぐるりとほぼ円状に囲んでいるのが、シャレブレ領になるんだ。12地域に分かれているから、寒い国もあれば日本のように四季がある国もある。シャレブレは四季があるよ」
シャレブレ国の地図はとても可愛らしい。
ドーナッツのように中央が穴が空いており、そこにシャレブレ国の本土があるのだ。シャレブレ国の首都を守っているような地形だった。
「四季があるなんて、本当に元の世界とそっくりだわ……」
「そうだね。気候とかは似ているだろうね。大陸は妖精と共に少しずつ変えていったという伝記があるから、きっとそうなんだろうと思うよ。君がいた世界と昔話と、シャレブレでは似ている所も多い。面白いよね」
そう言って、ラファエルは自分が守る町を見つめていた。その瞳はとても生き生きとしており、愛おしそうな慈愛に満ちた眼差しだった。
彼は本当にシャレブレという国を大切に思っているのだろう。それが十分に伝わってくるものだった。
「あ、王子様とハーフフェアリ様だー!」
「ほら、人々が君を歓迎してるよ。笑顔で、ね」
「う、うん」
初めて2人に気づいたのは小さな子ども達だった。ラファエルとその婚約者だとわかると笑顔で駆け寄ってくる。子どもの大声で、それに気づいた大人達も自然と近づいてくる。
「元気か?ちゃんとおうちのお手伝いはしてるのか?」
「してるよ!僕は王子様の護衛隊に入るために稽古もしてるんだ!」
「そうか。それは頑張っているな」
「シュリ様、初めまして。そして、ようこそシャレブレへ」
「初めまして。シャレブレ国の事はまだわからないことばかりですが、精一杯務めますので、よろしくお願い致します」
「妖精さん、きれーね。大きくなってもこんなに綺麗なの?」
「あぁ、もっと綺麗だ。俺には勿体ないぐらいのお姫様だよ」
「ラファエル様………」