囚われのおやゆび姫は異世界王子と婚約をしました。
18話「妖精、怒られる」
18話「妖精、怒られる」
しばらくの間、朱栞とラファエルは大樹の上でゆったりとした時間を過ごした。
「それじゃあ、やはりラファエルというのは、私の元の世界での神話を元に伯爵がおつけになった名前だったのね」
「あぁ。この世界ではなかなか名前で始めは珍しがられたそうだよ」
ラファエル。
キリスト教での三大天使の1人。「癒しを与え輝く者」という言葉を伯爵が気に入ったらしく、自分の息子に名付けたらしい。
「俺に妖精たちを癒す存在になって欲しい、らしい。それは、難しいけど」
「そうなの?ラファエルは国をよくするために頑張っているなら関係しているんじゃ………」
「確かにそうかもしれない。けれど、アレイには迷惑をかけているからね」
「それはどういう………」
彼にそう質問しようとした時だった。
目の前に話に出ていたラファエルの契約妖精であるアレイが、朱栞と彼の目の前に姿を現した。
彼女は何故かいつも苛立っており、今も腕を組みながらジロリとラファエルを睨んでいた。