囚われのおやゆび姫は異世界王子と婚約をしました。
20話「王子、闇夜に決意する」
20話「王子、闇夜に決意する」
ホープを家に送った朱栞とラファエルは、そのまま城へと戻ることにした。予定はかなり変更になってしまったけれど、とても素敵な出会いになった。
それに、朱栞にとっても大きな収穫にもなった。やはりこの世界でも子ども達は空想の物語が大好きだという事だ。
物語を通して、自分と違う人の考え方を知ることも出来るだろう。作者の考え、登場人物の考え、そして知恵や言葉も得られるはずだ。夢中になりながら学ぶ事も出来、そして大きくなってからのかけがえのない思い出にもなる。
ホープにもそうなって欲しいと思った。
帰り道、そんな事を考えていた。
が、その思考は途中で遮られてしまう。
「っっ!……ラファエル………」
「あぁ………大きな魔法を使った気配があるね」
調度、2人が飛んでいた場所の真下にはあの祈りの聖堂があった。堂内からは、もう夜になっており光りは見られない。人がいるとは思えないが、朱栞も魔力を感じていた。
今は人間の姿になっており、ラファエルに抱き抱えられて宙に浮かんでいる。彼を見上げると、そこには見たこともない鋭い視線と引き締しめている口元が見えた。真剣そのものの表情は怒りがあったのだ。綺麗な顔が更に迫力を感じさせる。
「ラ…ラファエル……」
「リト!」
「はい」