囚われのおやゆび姫は異世界王子と婚約をしました。
22話「妖精、怯える」
22話「妖精、怯える」
ラファエルの魔力は不思議だった。
大きな魔力を持っているから気づきやすい。それなのに、なぜか怖いと思わないのだ。彼の人のなりを知っているからかもしれない。でも、それだけではないような気がしていた。
ラファエルは人を安心させるオーラでも出ているのではないか。そんな風に思うのだ。穏やかな気持ちにさせる彼の魔力。だからなのか、彼が城に帰ってきても気づかない事が多く、足音や声を聞いたり、彼に声を掛けられるまで感じない。けれど、彼の姿を見てしまえば魔力はあふれ出ている。不思議だ。
けれど、今日は違った。
そろそろ日が暮れてくる時間になり、妖精から人間に姿を変わってしまうため、朱栞が部屋に戻っていた。夕食前にはラファエルが戻ると聞いていたので、彼の部屋の明かりをつけて夜になるのを待っていた。フッと窓の外を見ると、鳥たちが空を同じ方向へと向かって飛んでいる。町からは離れ、草原の方へと向かっている。その先にある森にある自分たちの巣に向かっているのだろう。元の世界では、スズメやカラスをよく見られていたが、この世界では南国にいるような、色鮮やかな鳥が多い。この場所は南国なのだと感じられる瞬間だ。朱栞が見上げる空にも赤や黄色、青や緑色など、見ているだけで心躍る色が流れるように飛んでいる。
「っ………何、これ………」
その時だった。