光の差す暗闇で私は音を奏でたい
「……そっか」
その一言で、精一杯だった。
私と仲良くなりたいって思ってくれている小林君に、少しでも信用するのが怖かったなんて、ものすごく申し訳なくなってくる。
小林君は、何もしなくても人が寄ってくるような素敵な人だ。きっと、小林君が望めば誰とだって仲良くできる。
……なのに、小林君が選んだのは私だった。
色々考えながら歩き、前を見るといつの間にか教室の前に立っていた。
私が小林君と一緒に登校してきた事に周りがざわつく。
”えっ?何で如月さんと小林君一緒に来てるの!?”
”昨日、何かあったんじゃない?”
”何でよりによって如月さんなの?”
”小林君とは釣り合わないっての”
”小林君の隣早く離れろよ”
そんな悪口が教室中に飛び交っていた。
”あの日”以来、私はどれだけ小さな声で言っている悪口もはっきり聞こえるようになってしまった。いわゆる地獄耳。
……そんな事、言われなくたって私が一番分かってる。
自分の席に座り、荷物をドサッと机の上に置く。
小林君の席の方を見ると、思った通り既に彼の席はたくさんの人に囲まれていた。
私は机に顔を伏せる。
……やっぱり、小林君は私と正反対だ。私は月で、小林君は太陽。
本来、月と太陽は重なる事がない。あるとしても、何年かに一回だ。
だから、私達も本来そうであるべきなのかもしれない。
……でも、その少しの可能性を作ってくれるきっかけとなったのは、彼が私に歩み寄ってくれたから。
信じたいとは思うけど、でも……やっぱり自分に自信が持てないんだ。
私はぎゅっと目を瞑る。
その時、小林君が私の方を見ていた事には気づかなかった。