光の差す暗闇で私は音を奏でたい
~幸音目線~
三戸さん達から、閉じ込められて少しの時間が経つ。……今日はもう、お昼ご飯は食べられないかな。いつ、この扉が開くのか分からないし……もしかしたら、誰も来ないかもしれない。
私は目を開けて体制を起こす。
光の差し込まないこの空間は私の心そのものだと思った。
すると、突然扉の鍵を開ける音がした。
扉がゆっくりと開く。
そこにいたのは……小林君だった。
「如月っ!」
小林君は駆け寄ってきて、私の両腕を掴む。
「如月、怪我はないか!?」
「う、うん大丈夫だけど……」
そう言うと、小林君は少しほっとしたような顔をした。
どうして、そんなに焦った顔をしていたのだろう。あと、どうしてここに小林君がいるんだろうか……。
「……良かった、無事で」
小林君はそう一言、言うと私を抱き締めた。
「小林君?どう、したの……?」
そう言うと、小林君が少し強く私をぎゅっとした。
「……三戸達から如月を閉じ込めたって聞いて、すげぇ焦った。如月が、危ない目にあったんじゃないかと思って……」
だから、ここの鍵を小林君が持ってるんだ。心配してくれていたことがすごく伝わってくる。
「……ありがとう。でも、本当に何も無かったよ。ただ……三戸さん達にとって、私は邪魔な存在だったってだけだったから」
そう言うと、小林君は私から手を離しこちらの方に目を向けた。
「……わかっていると思うが、俺はそんな事一ミリも思ってないからな」
真剣に言う小林君を見て、少し笑いそうになってしまった。
「うん、分かってるよ」
「それならいいけど……」
二人で顔を見合わせて、お互い穏やかな表情に変わる。
キーンコーンカーンコーン
昼休みの終わりのチャイムが鳴り響く。
「……昼休み、終わったな」
「そうだね……」
私達は立ち上がって、教室の方へと歩き出す。