光の差す暗闇で私は音を奏でたい


結局、お昼ご飯食べれなかったな……。あと少しで五時間目が始まってしまう。




一人になることは出来たけれど……でも、屋上に行きたかった。




……教室に着き、自分の席に置いてある弁当を持って鞄にしまおうとする。その時、小林君がその手を掴んだ。




「如月、授業サボるぞ」




「……えっ!?」





「おい斉藤!俺達今からサボるから、先生に上手くいっておいてくれ!」



小林君……もう、友達出来てたんだ。早い。



「はぁ!?サボるって、お前なぁ……」



「じゃあ、後はよろしく頼む。如月、行くぞ」




「えっ、ちょっと小林君!?」



小林君は、私の手を引いて廊下を走る。


斉藤君が後ろから何か言っているのが聞こえる。この状況に、思わず笑いそうになった。




……何でそんなに必死なんだろう。だけど、不思議とこの状況が嫌だとは思わなかった。



小林君の表情を見ながら走り続ける。


この時間が、少しだけ温かく感じたんだ。
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