光の差す暗闇で私は音を奏でたい


「如月、俺の事覚えてないみたいだから言っとく。俺、二組の輝星優斗(きらぼしゆうと)。俺の名前、ちゃんと覚えてよね」




じゃーね、と言って私にウインクをすると彼は背中を向けて教室から出て行った。




「……え?」




輝星優斗って……。有名なヴァイオリニストじゃない。どうして、彼がこんな所にいるの……?




昔会った事あるって言ってたのは、きっと幼い頃に一度だけ出たヴァイオリンのコンクールの時だ。……少しだけ、思い出した。





先生の声が教室中に響き渡る中、私だけが呆然としていた。
< 34 / 100 >

この作品をシェア

pagetop