光の差す暗闇で私は音を奏でたい
~幸音目線~
……放課後。帰る支度をして、私は席から立ち上がる。
「如月、一緒に帰ろうぜ」
小林君が私の前に立ってそう言った。
「うん」
最近はずっと、あの公園まで小林君と一緒に帰るのが日課になりつつある。
そのせいか、いつも隣に誰かがいることはとても良い事だなって思うようになってにきた。
「足、大丈夫か?」
「多分もう大丈……」
そう言いかけて歩こうとすると、痛みが走り足がぐらつく。
「如月!」
小林君は倒れそうだった私を支えてくれた。
「……ごめん、まだ少し足痛い」
足を捻挫してから、一歩も歩いてなかったからこんなに痛かった事を忘れていた。
少しぐらい大丈夫だと思っていたけれど、私結構痛めちゃってたんだな……。
「じゃあ、俺の背中乗れよ」
小林君はそう言ってその場にかがむ。
「足、歩くのしんどいくらい痛いなら、安静にしていた方がいい。悪化して治りが遅くなるかもしれない」
皆が見ていて、本当は恥ずかしいけれど……でも、小林君の言う事は正しいと思う。
「……分かった。じゃあ、お言葉に甘える」
私は小林君の肩に手を乗せて彼の背中に乗ると、小林君は立ち上がった。
「よし、行くか」
「……うん」
小林君はスタスタと歩き始める。何か、いつもより視線が高い場所にあるなんて、変な感じがする。
周りの人達が私達の方へ視線を向けているのが上から見える。だけど、小林君はそれに全く気にしてなかった。
何があっても堂々としていられるのが、格好良くて羨ましいと思った。
……小林君はいいな。そんな風に過ごせて。
私は無意識に小林君を強くギュッとする。
その瞬間、小林君の身体がびっくりしたのが伝わってきた。……さっきから、小林君の耳が赤いのは気のせいだろうか?
「如月……どうした?」