光の差す暗闇で私は音を奏でたい
「貴方も、お母様のピアノが好きなの?だから、私に話しかけに来たの?」
「確かに、如月のお母さんはすごいピアニストだ。けど、俺はそんな事を聞きに来たんじゃない」
「じゃあ、何のために……?」
彼は少し下を向いてから、私の方へと視線を向けた。
「お前にずっと、会いたかった」
「……え?」
日光が当たる中、より一層強い風が私達を吹き抜ける。
それはまるで、私の知らない何かが起こる予兆のようだった。