光の差す暗闇で私は音を奏でたい



「結城葵様!そろそろ舞台裏に待機して下さい」




俺の名前が呼ばれ、その場に立ち上がる。




……もうすぐ、俺の番だ。




これまで、俺が日々磨いてきたピアノの成果、見せてやる。




そして、幸音が驚くような、そんな演奏をあの舞台の上で披露してみせる。




だから俺の演奏、しっかり聞いておけよ、幸音。




俺は幸音が座っている席を見て、軽く笑う。



その俺の姿に気づいたのか、幸音はその場でビクッとしていた。




その姿を見て、俺は舞台裏へと足を進ませる。





さぁ、今日も会場を俺色に染めてやる。



舞台裏へと繋がる扉を開けて、俺は一歩一歩歩きながら、舞台の上へと足を踏み入れた。

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