光の差す暗闇で私は音を奏でたい



「如月!今日の演奏、今までで一番感動した!!あんな演奏出来るようになってたんだな!やっぱり如月はすごいよ!」



「俺もすげぇ感動した。何か幸音が、殻を破ったような演奏だった。あの短期間で、すごい成長したんだな。本当に凄かった」



二人共、私の演奏の感想を細かく言ってくれた。




そう言う二人の目がキラキラしているのを見て、私は思わず微笑んだ。




「ありがとう。でも、あんな演奏が出来たのは夏向と輝星君がいたからだよ。私の方こそ、ずっと応援してくれてありがとう」




私の言葉に、二人は優しい表情になる。





そんな時、葵がちょうど前を歩いていた。





「葵……」




私の声に気づいたのか、葵は落としていた視線を私の方へと向けて、私の前で立ち止まった。




「お前、何か変わったな」




そう言われて、私は少し動揺する。



「え?それってどういう事……?」



「だから、褒めてるんだよ。……今日の幸音の演奏は、ものすごく心に響くものだった。だから、会場の奴らも皆、幸音の音に惹き込まれたんだろう」




葵はそっぽを向いてそう言った。



けれど、すぐにまた私の方に視線を向けた。




「……今までよく頑張ったな」




そう言って、葵は私の頭を撫でた。




……葵の心にも私の気持ち、ちゃんと届いてたんだね。




それが嬉しくて、また涙が零れてしまう。





「……おい、泣くなよ」



「だって、嬉しくて……」



私の泣き顔を見ながら、葵は少し困ったように笑って私を抱き締める。




「お前はもう、一人じゃない。今日の舞台で、それが証明されただろう?だから、幸音はまた舞台の上で笑っていいんだ。それに、俺は絶対幸音の傍からいなくなったりしないから」




「……うん」





私の返事を聞くと、葵は私からそっと手を離し、もう一回私の頭を撫でた。

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