【完結】一夜の過ちで身籠ったら、夫婦が始まってしまいました。
「そう。分かるよ、初めて赤ちゃんが出来た人なら思うことだもの。それを思うのは当たり前だと思う。 つわりの辛さは人それぞれ違うし、ひどい人もいれば軽めの人もいる。 神山先生の奥さんは、どっちかと言うと、ひどい方かもしれないわね」
野山先生は、そのエコー写真を見ながら俺にそう言って、俺の方を向いた。
「……なんでそんな話を、俺に?」
「神山先生、奥さんのこともっと大事にしないとダメよ。 神山先生は、父親になるんだから」
「え?」
朱鳥のことを、もっと大事に……?俺の中では、朱鳥のことを大事にしてるつもりだった。
「奥さんのこと不安にさせたらダメよ?あなたの奥さん、今赤ちゃんのために一生懸命頑張ってるんだから」
「……ああ、分かってる」
そんなことは分かってる。朱鳥のことを誰よりも思っているのは、この俺だ。朱鳥のそばにいたいと思っている。
「あなたの奥さん、わたしに今日こう言ったの。わたしは、ダメな母親だって」