【完結】一夜の過ちで身籠ったら、夫婦が始まってしまいました。
⑪その悲しみから立ち直るには、時間がかかるけれど
「朱鳥?大丈夫か?」
「はい、大丈夫です。ありがとうございます」
わたしは知っている。……あの時、あの日の夜。寝ているわたしにそっと那智さんが〈愛してる〉と言ってくれたことを。
その一言で、わたしは幸せを確かに感じた。那智さんという素敵な旦那様と出会って、確かに今わたしはここにいる。
そして今日は、また検診の日だ。那智さんは今日休みなのに、一緒に検診に来てくれると言ってくれたのだった。
ゆっくり休んでほしいと思っていたけど、那智そんはわたしのことが心配だからと着いてきてくれるようだ。
申し訳無い気持ちももちろんあるけど、だけどそれ以上に、嬉しい気持ちのほうが大きかった。
「あ、すみません那智さん……。ちょっと待ってください」
「どうした?忘れ物か?」
「はい。保険証を忘れてしまいました。ちょっと取ってきますね」
駐車場まで来たのに保険証を忘れたことに気づいたわたしは、急いで取りに行くことにした。
ーーーその時、わたしにある異変が起こってしまった。