【完結】一夜の過ちで身籠ったら、夫婦が始まってしまいました。
「違うわ!……あなたのせいじゃない。あなたの、せいじゃないわ……」
野山先生も少しだけ涙をこらえていて……。
「うぅっ……。赤ちゃん……ごめんね……」
わたしのせいじゃないと先生は言った。だけどわたしのせいじゃないなら、どうして赤ちゃんはいなくなってしまったの……?
そんなことばかりを考えてしまって、何も手に付かなかった。
頭の中でリピートされるのは、先生が言ったあの「赤ちゃん、助けてあげられなくてごめん」という言葉ばかりだ。
「……神山さん、妊娠初期の流産は珍しいことではないわ。……だけどやっぱり、悲しいわよね?苦しいわよね?あなたはちゃんと母親になろうとしてたのに……。こんなことになって、先生も苦しいし、悲しいわ」
「赤ちゃん……。わたしの所にいるのが、イヤになっちゃったんですか……?」
「……え?」
「わたしが赤ちゃんができたことをちゃんと喜べなかったから……。少しでも後悔があったから……。だから、いなくなっちゃったんですか……?」