【完結】一夜の過ちで身籠ったら、夫婦が始まってしまいました。
SIDE那智
「神山先生……」
「……野山先生」
朱鳥が苦しみだして倒れた後、病院についてすぐ野山先生が処置をしてくれた。……だけど、赤ちゃんは流産してしまった。
「……朱鳥の様子は、どうですか?」
俺のその問いに、野山先生は何も言わずに首を横に振った。
「……そう、ですか」
そうだよな、そんな簡単に受け入れられる訳がないよな……。あんなに赤ちゃんのこと大切にしようと頑張っていた中で起きた出来事だったから。
「……奥さん、自分のこと責めてた」
「……え?」
「わたしが悪いんだって。わたしが赤ちゃんが出来たことを少しでも後悔してしまったから、赤ちゃんはいなくなっちゃったんだって。……泣きながらそう言ってた」
野山先生の表情はとても辛そうで、そして泣きそうだった。
「……自分はちゃんといいお母さんになれなかったから。だから赤ちゃんは、お腹にいるのがイヤになっちゃったんだって。……そうやって自分を、ずっと責めてる」