【完結】一夜の過ちで身籠ったら、夫婦が始まってしまいました。
⑫改めて、夫婦として歩んでいくことを決意しました
それからわたしは一日入院をして、検査を受けて問題ないとのことだったので、そのまま退院した。
「……神山さん」
「野山……先生……。お世話に、なりました」
「何かあったら、いつでも来ていいからね。わたしが、あなたの相談に乗るわ。悩みだって聞くからね?」
「……はい。ありがとうございます」
野山先生は本当に優しくて、わたしを最後まで笑って見送ってくれた。そんな野山先生の優しさに感謝して、わたしは病院を後にした。
少し歩いてすぐ、わたしは立ち止まって空を見上げた。お腹に手を当てて、赤ちゃんがいた記憶を思い出していた。
昨日まで、赤ちゃんがちゃんといたんだなって思うと、忘れることが出来ない。
前を向かなきゃ、次に進まなきゃ。そう思う気持ちもあるのに、頭の中に染み付いて離れない。
「……わたし、いいお母さんだったかな?」
なんて呟いてみても。答えてくれる人なんていないと分かっているのに、その答えをどこかで知りたくなる。