【完結】一夜の過ちで身籠ったら、夫婦が始まってしまいました。
「……朱鳥、お腹空いてるか?」
「え?」
「何か、食べに行かないか?」
「……でも、つわりが……。すみません、何でもないです」
そうだ。赤ちゃんはいなくなったから、もうつわりはないんだ……。そっか、つわり、なくなったんだ……。
じゃあこれからは、好きな物何でも食べられるんだ。
大好きなハンバーグも、チョコレートも、抹茶アイスも、チーズケーキも。好きな物何でも、食べられるんだ……。
「朱鳥、ごめん。ムリしなくていい」
「……あの、那智さん」
わたしはこの一日、ずっと考えていたことがあった。それを、那智さんに伝えようと思った。
「どうした?」
那智さんはわたしに優しくそう問いかけた。
「……あの、話したいことが、あるんですけど」
「話?……じゃあ、そこで話そうか」
那智さんは、公園の方を指差して言った。わたしたちは、公園の芝生に並んで座った。
「朱鳥、話って……?」
「……那智さん。わたしと……。離婚、してくれませんか?」