【完結】一夜の過ちで身籠ったら、夫婦が始まってしまいました。
「朱鳥、まだ時間はたくさんある。……ゆっくりふたりで、考えていこう?わたしも協力するし」
麻美のその言葉で、わたしは救われた気がした。
「麻美……」
なぜだか分からないけど、泣きたくなってしまった。いろんなことがあって、頭もついていけないし、考えることがたくさんあって、正直しんどかった。
「朱鳥が辛い時は、わたしがそばにいるよ。慰めるし、美味しいものだって作るよ。……もし生みたいと思うのなら、わたしは朱鳥のその決意をずっと応援していくつもりだから」
「っ……。ありがとう……麻美」
「何言ってんの?わたしたち、親友でしょ?」
「……うん」
麻美に本当のことを話したことで、わたしの心は少し軽くなった気がした。……だけど生みたいか生みたくないかの選択が、しばらくは出来そうになかった。
先生からは中絶をするなら、20週目までだと言われた。だけどわたしのお腹に宿っているこの小さな生命を、捨てることは許されない気もした。