【完結】一夜の過ちで身籠ったら、夫婦が始まってしまいました。



 「……え?」

 「これは、元カレの子ですから。……あなたの子ではありません」

 そう言うのがわたしの精一杯だ。そう言わないと、引き下がってくれなそうな気がした。

 「……ウソですね。あなたのお腹の中にいるのは、俺の子ですよね?だって、お腹の中の父親は、俺以外考えられないです」

 なのに彼は、簡単には引き下がってくれない気がした。ずっと自分の子だって言い張っている。何度違うと言っても、そうだと言い張るのだ。

 ……この人、思ったより頑固なんだって気付いた。ずっと俺の子に違いないと言ってるから。

 「本当に、違います。……あなたの子ではありませんから。だから、安心してください」

 「どうしてウソを付くんですか?……気付いていたかもしれませんけど、あの夜……。俺あなたに対して、避妊してしませんでした。あなたと早く繋がりたくて……。だから欲望に負けてしまって、わざと避妊しなかったんです。だからきっと、その時に出来た子なんだと思います」



< 23 / 125 >

この作品をシェア

pagetop