【完結】一夜の過ちで身籠ったら、夫婦が始まってしまいました。




 「…………」

 黙り込むわたしに、彼は言葉を続けた。

 「俺はあなたを、あの夜見かけて声をかけました。酔っているとわかっていて、声をかけました。……本当にサイテーですね、俺。分かっています、そんなこと」

 「…………」
 
 「だけどあなたをあの夜、抱いたの確かにこの俺です。その事実は変わらない。……だから今、あなたのお腹にいるのは、俺の子だと思います」

 よくここまで断言できたなと思う。確かにわたしは今、妊娠2ヶ月目に入った所だった。元カレと別れたのはそれよりも前。どう考えても、元カレの子が出来るはずがない。

 ……彼はきっと、そのことを分かっていたのかもしれない。だからこそ、俺の子ですなんて言い張っているのかもしれない。そう確信した。

 「……その通りです。わたしのお腹にいるのは、あなたの子です。……あの夜に出来た、赤ちゃんです」

 観念することにした。もう正直に話すことにした。再会してしまった以上、隠し通すことなんて出来ないのだと分かったから。

 
< 24 / 125 >

この作品をシェア

pagetop