【完結】一夜の過ちで身籠ったら、夫婦が始まってしまいました。
「…………」
黙り込むわたしに、彼は言葉を続けた。
「俺はあなたを、あの夜見かけて声をかけました。酔っているとわかっていて、声をかけました。……本当にサイテーですね、俺。分かっています、そんなこと」
「…………」
「だけどあなたをあの夜、抱いたの確かにこの俺です。その事実は変わらない。……だから今、あなたのお腹にいるのは、俺の子だと思います」
よくここまで断言できたなと思う。確かにわたしは今、妊娠2ヶ月目に入った所だった。元カレと別れたのはそれよりも前。どう考えても、元カレの子が出来るはずがない。
……彼はきっと、そのことを分かっていたのかもしれない。だからこそ、俺の子ですなんて言い張っているのかもしれない。そう確信した。
「……その通りです。わたしのお腹にいるのは、あなたの子です。……あの夜に出来た、赤ちゃんです」
観念することにした。もう正直に話すことにした。再会してしまった以上、隠し通すことなんて出来ないのだと分かったから。