【完結】一夜の過ちで身籠ったら、夫婦が始まってしまいました。
だけど彼のその言葉を、無視するわけにもいかなくて……。結局、受け入れてしまった。
「じゃあまず、LINEから交換しましょう?お互いに都合がいい時に、デートをするということで。日程を決めるのにLINEは必要なので」
彼はそう言いながら、上着のポケットからスマホを取り出していた。
「……はい。分かりました」
わたしもカバンからスマホを取り出した。そしてお互いのLINEのQRコードを読取って、友達登録をした。
「……神山、那智さん?」
それが、彼の名前……。今思うと、名前も知らない相手と一夜を共にするなんて、おかしな話だ。
「はい。俺のことは〈那智〉って呼んでください」
えっ?いや、いきなり名前呼びはちょっと……。どうせなら、さん付けしたいくらいだ。
「……じゃあ、那智さんで」
「はい。では俺は、朱鳥さんと呼ばせてもらいますね?」
「……は、はい。どうぞ」
こうしてわたしたちは、夫婦になるための1歩を歩み始めた。