【完結】一夜の過ちで身籠ったら、夫婦が始まってしまいました。


 
 「え? そうなんですか?」

 「はい。小さい頃は、それでいじめられました。わざと海老や蟹のお菓子とか入れて。……まぁ、俺の反応を見てみんな笑ってましたけど」

 「……なんか、すみません」
 
 そんな話をされるとは思ってなかったから、なんか気が引けてしまった。

 「謝らないで?アレルギーを持ってる人しか、こういうのは分からないからね」

 「……はい」

 「朱鳥さん、ピーナッツアレルギーを持ってるみたいだから、俺も朱鳥さんの前ではピーナッツ類食べないようにするよ」

 そしたら突然、そんなことを言い出した。

 「え?あ、いや、そこまでしてもらわなくても……!」

 そんなことを言われたら戸惑ってしまう。なんて返したほうがいいのか。

 「いいんだ。俺が朱鳥さんのために、そうしたいです」  

 だけどその言葉は、今わたしのためだけに向けられたものだと分かって、ちょっと嬉しい気もした。そこまでわたしのために、やってくれる人なんだなって思って。


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