【完結】一夜の過ちで身籠ったら、夫婦が始まってしまいました。




 そこまで頭が回らなかった。どうしよ……。

 「オススメは、オリジナルブレンドのルイボスティーですよ」

 メニューを見ながら考えていた時、那智さんがそう言ってくれていた。

 「ルイボスティー?」

 「はい。ルイボスティーは、ノンカフェインなので、妊婦さんにもいいそうですよ?」

 なんて、那智さんは自慢げに言っていた。

 「……じゃあ、それにします」

 「温かいのでいいですか?」

 「え? あ、はい」
 
 那智さんはスムーズに注文を取ってくれていた。色々とやってくれて、優しくもしてくれる。

 「朱鳥さん」

 「はい?」

 「あの、プロポーズのことなんですけど……」

 そしたら突然、そう言われてしまって。思わず体が飛び跳ねてしまった。

 「……昨日は、すみませんでした。突然あんなふうに言われても、すぐに決断出来る訳ないですよね」

 わたしも何か言わなければと思ったけど、言葉を続けたのは那智さんの方で。
 わたしは那智さんの言葉を聞くことしか出来なかった。

< 39 / 125 >

この作品をシェア

pagetop