【完結】一夜の過ちで身籠ったら、夫婦が始まってしまいました。
そこまで頭が回らなかった。どうしよ……。
「オススメは、オリジナルブレンドのルイボスティーですよ」
メニューを見ながら考えていた時、那智さんがそう言ってくれていた。
「ルイボスティー?」
「はい。ルイボスティーは、ノンカフェインなので、妊婦さんにもいいそうですよ?」
なんて、那智さんは自慢げに言っていた。
「……じゃあ、それにします」
「温かいのでいいですか?」
「え? あ、はい」
那智さんはスムーズに注文を取ってくれていた。色々とやってくれて、優しくもしてくれる。
「朱鳥さん」
「はい?」
「あの、プロポーズのことなんですけど……」
そしたら突然、そう言われてしまって。思わず体が飛び跳ねてしまった。
「……昨日は、すみませんでした。突然あんなふうに言われても、すぐに決断出来る訳ないですよね」
わたしも何か言わなければと思ったけど、言葉を続けたのは那智さんの方で。
わたしは那智さんの言葉を聞くことしか出来なかった。