【完結】一夜の過ちで身籠ったら、夫婦が始まってしまいました。
⑤幸せな人生を送ってほしいと思ってるからね
「……いえ、大丈夫ですよ」
プロポーズをすぐに断ってしまった自分にも非があるかもしれないとは思った。
「だけど昨日、あなたに言ったことは本当の気持ちです。……俺はあなたと、一緒になりたいです」
「……赤ちゃんが出来たことでそれを言わせているのなら、それは出来ません」
「どうしてですか?俺にも責任があります」
「そうやって責任取らなきゃとか、わたしは思われるのがイヤなんです」
「……え?」
わたしがそう言うと、那智さんは不思議そうにわたしを見た。そして口を開くのを辞めてしまった。
「それに、わたしはまだ……。生むかどうかも、決めてません」
これは本当だった。生みたい気持ちもある。だけどまだちゃんと決心が付いたわけではなかった。
「えっ?そうなん、ですか?」
「はい。……生むかどうかは、もう少し考えてから決めたいので」
今すぐに生みたいかと言われると、そうでもない気がする。だけど本当にこのままで、わたしは後悔しないのかな……。