【完結】一夜の過ちで身籠ったら、夫婦が始まってしまいました。
「……そうですよね。そんなに簡単に、決められることではないですよね」
「はい。だけどどんな決断をしたとしても、那智さん、あなたには迷惑はかけません。……なので安心してください」
そう言うしかなかった。那智さんは優しいから、絶対幸せにするとか、そう言う言葉を言う気がしたから。那智さんにはわたしではない別の人と幸せになってほしい。
「そんな……。どうして?」
だけど那智さんのこの子犬みたいな、ウルウルした目が、わたしの目を見つめたまま離さなくて……。目を逸らすことも出来なかった。
やめて……。そんな目で見られたら、わたしは那智さんにきっと甘えてしまう。那智さんのその優しさにすがりついてしまいそうになってしまう。
那智さんだけは、迷惑をかけないようにしたいと思っていたのに……。なぜだか、心がキュッと締め付けられしまう。
「おまたせしました。カルボナーラとミートソースパスタになります」
その時、目の前に注文した料理が運ばれてきた。