【完結】一夜の過ちで身籠ったら、夫婦が始まってしまいました。




 そして食事を終えたその帰り道、那智さんはわたしにこう言ったのだ。

 「朱鳥さん!」

 「はい?」

 「朱鳥さんさえ良ければ、また俺とデートしてくれませんか?」

 「……え?」

 那智さんはその真剣な眼差しで、わたしを見つめたまま立っていた。

 「俺は今日、朱鳥さんのことを少し知れました。だけどこれからのために、もっと朱鳥さんのことを知っていきたいんです」

 「……那智さん」

 那智さんがこんなことを言ってくれるなんて、思わなかった。

 「だからもう一度、俺とデートしてくれませんか?……俺は今度こそ、朱鳥さんのことを心から楽しませたいです。俺のことをいいと思ってくれるように、頑張りたいと思っています」

 その言葉にわたしは、つい笑ってしまった。

 「え?俺何かおかしなこと言いましたか?」

 「すいません、違います……。なんか嬉しくて、そうやって言ってくれるのが」

 「え? そうですか?」

 「はい。……次のデートも、よろしくお願いします」


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