【完結】一夜の過ちで身籠ったら、夫婦が始まってしまいました。
「え、本当ですか?」
「はい。……お腹の赤ちゃんのことも、真剣に考えます。前向きに、考えます」
「ありがとうございます。もし何か俺に出来ることがあれば、何でも言ってください」
「……はい。ありがとうございます。じゃあ、今日はありがとうございました。……ごちそうさまでした」
「いえ。ではまた、連絡します」
「はい。……じゃあ、失礼します」
わたしは那智さんを見送られるようにして、その場から歩いて立ち去った。
ーーーその時だった。
「朱鳥さん……!」
わたしの名前を呼んで走ってきた那智さんに、抱きしめられたのだった。
「え……?那智、さん?」
今わたし、那智さんに抱きしめられてる……?
「朱鳥さん、好きです」
「……え?」
今、好きって言ったの……?那智さんわたしに、好きって言った……?
わたしの聞き間違いかもしれないと思った。だけどわたしには、確かに〈好き〉そう聞こえた。