【完結】一夜の過ちで身籠ったら、夫婦が始まってしまいました。
「今日の検診で写った、わたしの……。いえ、わたしたちの赤ちゃんです」
「……俺と、朱鳥さんの、赤ちゃん」
「はい。今妊娠3ヶ月目に入りました。……まだこんなにも小さいのに、ちゃんと生きているんだなって思ったら、わたしなんか嬉しくなりました。本当に赤ちゃんがいるんだなって」
「……本当ですね。すごく、小さい」
那智さんは、少し悲しそうな顔をしながらエコー写真を眺めていた。
「……那智さん、いえ、神山那智先生」
「……はい?」
わたしは一つ、深呼吸をする。
「那智先生、わたし。……この子を生むことに決めました」
「えっ?……本当に?」
「はい。わたしは、生まれてくるこの子のお母さんです。……この子を、大事に大事に育てていきたい。エコーを見て、本当にそう思いました」
わたしは那智先生のために、自分の口から自分の言葉を発した。思いが伝わるかは分からないけど、自分の言葉で伝えたいと思ったから。
「……朱鳥さん」
「わたしは、この子のためなら何でもやる覚悟です」