【完結】一夜の過ちで身籠ったら、夫婦が始まってしまいました。

SIDE那智




〈那智目線〉



 「神山先生、203号室の田山侑斗(たやまゆうと)くん、検査結果は特に異常なしでした。明日には退院出来そうです」

 「そうか。良かった」

 とある患者のカルテを見ながら、俺はそう呟いた。

 「はい。先生の適切な処置のおかげですね?」

 「……俺はただ、一人でも多くの患者を助けたいだけだよ」

 「侑斗くん、先生に感謝してましたよ?すごい先生だって」

 「……そうか」

 なんてクールに振る舞ってはいるが、実際には感謝されていると知ると心なしか嬉しい。誰か一人でも助かって元気になってくれるだけで、俺はそれだけで嬉しいんだ。

 「そういえば……。先生、ご結婚なさったんですか?」

 「えっ?」

 「ほらだって、左手の薬指、指輪してますよね?この前までは指輪なかったから、もしかしてと思って……」

 看護師は俺の左手の薬指に付いている指輪を指差した。

 「ああ、2週間前に結婚した」

 「ええっ!?2週間前……!?」
 

< 63 / 125 >

この作品をシェア

pagetop