【完結】一夜の過ちで身籠ったら、夫婦が始まってしまいました。
SIDE那智
〈那智目線〉
「神山先生、203号室の田山侑斗(たやまゆうと)くん、検査結果は特に異常なしでした。明日には退院出来そうです」
「そうか。良かった」
とある患者のカルテを見ながら、俺はそう呟いた。
「はい。先生の適切な処置のおかげですね?」
「……俺はただ、一人でも多くの患者を助けたいだけだよ」
「侑斗くん、先生に感謝してましたよ?すごい先生だって」
「……そうか」
なんてクールに振る舞ってはいるが、実際には感謝されていると知ると心なしか嬉しい。誰か一人でも助かって元気になってくれるだけで、俺はそれだけで嬉しいんだ。
「そういえば……。先生、ご結婚なさったんですか?」
「えっ?」
「ほらだって、左手の薬指、指輪してますよね?この前までは指輪なかったから、もしかしてと思って……」
看護師は俺の左手の薬指に付いている指輪を指差した。
「ああ、2週間前に結婚した」
「ええっ!?2週間前……!?」