【完結】一夜の過ちで身籠ったら、夫婦が始まってしまいました。
➇夫婦はどんな時も、ふたりでひとつです
「……あの、那智さん」
「朱鳥……?どうした?」
「あ、いえ……。何でもないです」
「なんだ?気になることがあるなら、遠慮なく言ってくれ。 俺たちは、もう夫婦だろ?」
「……はい。じゃあ、遠慮なく」
わたしは那智さんの目の前に座ると、静かに口を開いた。
「那智さん、あの時の男の子……。はる君、でしたっけ?あの子、那智さんのこと大好きだって言ってましたよ?」
「……え? はる君が?」
那智さんは目を大きく見開いて、驚いたような顔をした。
「はい。……昨日の検診の時、少し話したんです。そしたらはる君、那智さんのこと大好きだって言ってたんです。必ず病気を治して、先生とサッカーやるんだって言ってました。そう先生と約束したんだって、笑ってました」
はる君をことを誰よりも心配している那智さんだからこそ、伝えてあげたいと思った。ここ最近、那智さんはあまり元気がないようにも見えるし、なんとかしてわたしが慰めてあげたいと思っていた。