【完結】一夜の過ちで身籠ったら、夫婦が始まってしまいました。
「そっか、ゼリーか」
「はい。あと……トマト」
「トマト?」
トマトと言うと、那智さんは不思議そうにわたしを見ていた。
「はい。トマトです」
「トマトか……。じゃあ今日は、俺がトマトを使って料理でもしようかな?」
そしたら気を利かせてくれたのか、そう言ってくれた。
「え? 料理、作ってくれるんですか?」
「うん、今日は俺が作るよ。 朱鳥のためだけに、とびっきり美味しいものを作るよ」
そう言って自信満々気に笑った那智さんは、「任せてくれ」と言っていた。
「……ありがとう、那智さん」
那智さんのその優しさは、わたしにとってはすごく嬉しいことで。気を利かせてくれてるっていうのは、分かってるんだけど……。
やっぱりわたしは、彼の妻になって良かったと思った。
那智さんの話だと、那智さんの両親はふたりとも医者だったそうだ。お父さんは大学病院の医院長をしていて、お母さんは産婦人科の先生をやっていたそうだ。