【完結】一夜の過ちで身籠ったら、夫婦が始まってしまいました。




 「ん、んんっ……!」

 最後にお互いの理性を手放した時、わたしは彼の腕の中が心地良く感じて、不覚にも。ずっとこのまま抱かれていたいと、そう思ってしまった。

 酔っていたとはいえ、彼と交した唇の感触や、彼に触られた胸や体は。彼の温もりを覚えていた。

 何度も何度も、深く繋がってきた彼にわたしは身を委ねてしまい、彼にもっと抱かれたい。キスしてほしい。そんなことまで思ってしまっていた。

 体の相性がいいって、まさにこういうことなのもしれないと。本気でその時に思ってしまった。

 元カレと違って優しく、なのに情熱的に抱いてくれて。だけどこの体温や吐息がとても心地よくて。

 たった1日、たった1日だけ過ごした彼との甘い夜なのに。わたしは彼のことを忘れることは出来なくて……。

 実際に好きになってしまいそうなほど、わたしは彼に抱かれたことを記憶していた。

 好きとか愛してるなんて言ってもないのに、心まで深く繋がっていた気がした。
 

 
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