【完結】一夜の過ちで身籠ったら、夫婦が始まってしまいました。
しばらくその姿を眺めていたら、那智さんがスープの入ったカップを目の前のテーブルクロスに置いてくれた。
「はい。朱鳥、出来たよ」
「……ありがとうございます」
ソファーから起き上がると、トマトの香りがカップの中から湯気と共に広がっていた。
「……美味しそう」
「熱いから、フーフーして食べて」
「はい。……いただきます」
わたしはスプーンを片手に、軽くフーフーしてから、スープを口の中に入れた。
「どう?」と那智さんは不思議そうな顔で聞いてきた。
「美味しいです。……すごく、美味しいです」
トマトの酸味がすごくいい感じで、今のわたしにはとても食べやすい。わたしに合わせて具材も食べやすいように小さく刻んであって、食べる側のことを考えてくれている。
「そう。良かった。好みが分からなくて、ちょっと迷ったけど」
「……すごく美味しいです。具材も小さくなってて、食べやすいですし」
「具材が大きいと、食べにくいかな?と思って、小さくしたよ」