【完結】一夜の過ちで身籠ったら、夫婦が始まってしまいました。
「……那智さん」
「朱鳥? まだ寝てなかったのか?」
お風呂から上がり、ベッドに潜った那智さんはわたしがまだ起きていたことにビックリしたようだった。
「すみません。驚かせて……。なんだか、眠れなくて」
わたしがそう言うと、那智さんは「大丈夫か?」と聞いて、わたしをベッドの中で抱きしめてくれた。
「……那智さんの身体、温かい」
お風呂上がりということもあり、その温かな温もりは、わたしをどことなく安心させてくれる。
「風呂入ったばかりだからな。温かいか?」
「はい。すごく……温かいです」
「そっか。……これなら、眠れそうか?」
「はい。……眠れそう、です……」
「じゃあ、眠るまでこうしてるよ」
「……ありがとうございます」
そしてわたしは気が付いたら、那智さんのその腕に抱かれたまま、眠ってしまったようだった。
だけどその腕の中はすごく温かくて、わたしは何だか、いい夢を見られたような気がした。