【完結】一夜の過ちで身籠ったら、夫婦が始まってしまいました。
「ありがとう、麻美」
「それより、那智先生とはどうなの?」
「えっ?」
麻美は突然そう言うと、ニヤニヤと笑顔を向けていた。
「那智先生と、うまくいってる?」
「……うん。それなりにね」
まだ完璧な夫婦になったとは言えなかった。だってわたしたちは、恋愛して結婚したような幸せ夫婦なんかじゃない。妊娠したことがきっかけで、2回デートしただけで、わたしたちは結婚した。
お互いのことを知っていくには、まだまだ時間がかかると思う。……だけど少しずつ、お互いを好きになっているのは確かだった。
大好きだって思う気持ちは、わたしたちにとって新しく芽生えた感情だし。そしてお互いがお互いを必要としている。
……それってわたしたちにとっては、すごく素晴らしいことだと思う。
赤ちゃんが生まれてくることもそうだし、わたしたちが出会ったことだって、いわば大きなキセキだとも言える。
こんなキセキ、もしかしたらもう二度と訪れないかもしれない。