【完結】一夜の過ちで身籠ったら、夫婦が始まってしまいました。
⑩ふたりで最高の家族になっていきたいです
「朱鳥、那智先生のこと好きなんじゃないの?」
「……好きだよ。すごく大好き。これからだって、ずっと一緒にいたいと思ってる。 この子と3人で、幸せな家庭を作りたいと思ってる」
わたしはお腹に手を当てて、赤ちゃんに語りかけるようにそう話した。
「なのに、何がそんなに不安なの?」
「……え?」
麻美のその言葉は、わたしの心を揺り動かした。
「那智先生のこと、好きなんでしょ?……なのに何が、そんなに朱鳥を不安にさせてるの?」
「……わたしたち、ちゃんと家族になれるのかな?」
わたしの不安は、麻美にはお見通しだった。やっぱり麻美に、隠し事は出来ないな……。
「……え?」
「わたしたち、最初に出会ったその日にあんなふうになって、そしたら妊娠しちゃって……。それでプロポーズされて。でもよく考えたら、お互いにあまり知らないまま結婚しちゃったから。……不安なの、この先ふたりでちゃんとやっていけるのかどうか。ちゃんと家族になっていけるのかどうか……」