【完結】一夜の過ちで身籠ったら、夫婦が始まってしまいました。
わたしの不安や悩みを、麻美は何も言わずに聞いてくれた。そして麻美は、わたしのことを何も言わずにそっと抱きしめてくれる。
「大丈夫よ。朱鳥と那智先生なら、きっと家族になっていける。 確かに恋愛してた訳じゃないから、すぐにお互いのことを理解し合っていくのは大変なことだと思うけどさ」
「うん……」
「だけどさ、そうなったからこそ、朱鳥たちは結婚して、お腹の中にいる赤ちゃんを生もうって決めたんでしょ?」
「……うん。赤ちゃん、生みたいって思った」
「だったらわたしは、その選択は間違っていなかったと思うよ? 時間がかかってもいいじゃない。だって朱鳥たちは、赤ちゃんと一緒に親になって、そして家族になっていくんだから」
「……麻美」
麻美は、更に言葉をくれた。
「夫婦なんて所詮は他人でしょ?……生まれた場所や価値観、考え方なんか違くて当たり前なんだし。 みんなそうやって色んなことを乗り越えていくからこそ、夫婦になっていくものなんじゃないの?」