私に婚約破棄を告げた王子が盛大にフラレました
まさかまさかのハッピーエンド
「あんなに大勢の前で婚約破棄なんてことになってごめん。まさかあの男があそこまで愚かだと思わなかった」
「──え?! あ? あぁ! そう言えばあったねそんなこと?!」
そんな過去(※一時間くらい前)のことより今の状況の方がよっぽど重要だと思うのだけれど?!
「あのクロードっ?」
「なぁに? フィーナ」
百合に似た香りの白い花で溢れたクロードの部屋の中。さすがエルフの王族の私室としか言い様のない豪華な調度品に囲まれた広いベッドの上。白と金の色彩の中に私を座らせたクロードが前に跪いて私のヒールを脱がせている。
「私と貴女、学園にいる時に何度か一緒にお風呂に入ったわよね?!」
「うん。入ったね」
「あの時、貴女はバスタオルを巻いていたけれど確かに女性だった気がするの!」
なのに何故、現在進行形で私の足に口づけている貴方は男性にしか見えないのかしら?!
「私達エルフにとって幻視の術など容易いことだから」
「あ、なーるほど! 幻視の術だったのかぁ! ──ってならないよ?! ならないよ、って、ひゃあっ?!」
舐められた! ふくらはぎを舐められた!
「く、くすぐったっ。待って、ねぇ待って! それに、エルフの国では同性同士でお風呂に入った時は年長者が年少者を洗うのがしきたりだって私クラウディアに色んなとこ洗われて──ひぅっ?!」
今度は太ももの内側を噛まれた!
「……君の、その純粋な性質を愛しく思っているよ」
答えになってない答えを甘い声で囁いて『彼女』だったはずの『彼』は蕩けるように笑う。熱い舌を首筋に押しつけながら軽く歯を立てられ、そのまま吸われるとチリチリとした痛みが走った。
「フィーナがあの男を愛していないことは知っていたけれど、君たちの婚約が解消されることをずっと願っていた」
男性の身体になっても繊細で綺麗な指が私のドレスの留め具を外す。
「ほんの少し私が微笑みかけてやっただけでアイツが心変わりした時は、冥界の王に生け贄として送りつけてやろうかと思ったけどね」
真紅のドレスはいとも簡単に天蓋の外へ落とされてしまった。
「フィーナは私のことどう思ってる? 好かれていると、自負しているのだけれど」
「好きだよっ? クロードのこと、大好きだけど、待って心の整理が追いつかないっ」
「簡単な話だよ。私が君を愛していて、君にも私を愛して欲しいんだ」
「そそそそれはなんとなく察したけど理解するのと感情は別物と言いますか! 私にとってクロードはついさっきまで女の子の親友だったわけで!」
「うん。だから、私が本当は男だったって、今から身体で覚えよう?」
にっこり。
おい、なんだこの超展開。なんだそのエロフ理論!
言ってることはとんでもないのに造形が美しすぎて何か厳粛な神託を告げてる空気にすらなっている!! 恐るべしエルフの王族の美の暴力っ!
「……フィーナが心から嫌がるのならさすがに私も無理強いなんてしないけど……」
コルセットで盛り上げられたミルク色の丘にちゅっちゅっと唇を落としながら、紫の瞳が上目使いで私の心を見透かすように見つめる。その瞳を綺麗だと、その瞳の中にずっと私を映していて欲しいと思う。
「君はきっと私を拒まない」
確信を持った妖艶な笑みに、心臓がバクバクと騒いでうるさい。
そう。私はきっと、拒まない。拒めない。
「キスして。フィーナ」
唇。本来の姿に戻っても尚、紅いクロードの唇。
その色に魅せられてフラフラと自分のそれを重ねた。
「──え?! あ? あぁ! そう言えばあったねそんなこと?!」
そんな過去(※一時間くらい前)のことより今の状況の方がよっぽど重要だと思うのだけれど?!
「あのクロードっ?」
「なぁに? フィーナ」
百合に似た香りの白い花で溢れたクロードの部屋の中。さすがエルフの王族の私室としか言い様のない豪華な調度品に囲まれた広いベッドの上。白と金の色彩の中に私を座らせたクロードが前に跪いて私のヒールを脱がせている。
「私と貴女、学園にいる時に何度か一緒にお風呂に入ったわよね?!」
「うん。入ったね」
「あの時、貴女はバスタオルを巻いていたけれど確かに女性だった気がするの!」
なのに何故、現在進行形で私の足に口づけている貴方は男性にしか見えないのかしら?!
「私達エルフにとって幻視の術など容易いことだから」
「あ、なーるほど! 幻視の術だったのかぁ! ──ってならないよ?! ならないよ、って、ひゃあっ?!」
舐められた! ふくらはぎを舐められた!
「く、くすぐったっ。待って、ねぇ待って! それに、エルフの国では同性同士でお風呂に入った時は年長者が年少者を洗うのがしきたりだって私クラウディアに色んなとこ洗われて──ひぅっ?!」
今度は太ももの内側を噛まれた!
「……君の、その純粋な性質を愛しく思っているよ」
答えになってない答えを甘い声で囁いて『彼女』だったはずの『彼』は蕩けるように笑う。熱い舌を首筋に押しつけながら軽く歯を立てられ、そのまま吸われるとチリチリとした痛みが走った。
「フィーナがあの男を愛していないことは知っていたけれど、君たちの婚約が解消されることをずっと願っていた」
男性の身体になっても繊細で綺麗な指が私のドレスの留め具を外す。
「ほんの少し私が微笑みかけてやっただけでアイツが心変わりした時は、冥界の王に生け贄として送りつけてやろうかと思ったけどね」
真紅のドレスはいとも簡単に天蓋の外へ落とされてしまった。
「フィーナは私のことどう思ってる? 好かれていると、自負しているのだけれど」
「好きだよっ? クロードのこと、大好きだけど、待って心の整理が追いつかないっ」
「簡単な話だよ。私が君を愛していて、君にも私を愛して欲しいんだ」
「そそそそれはなんとなく察したけど理解するのと感情は別物と言いますか! 私にとってクロードはついさっきまで女の子の親友だったわけで!」
「うん。だから、私が本当は男だったって、今から身体で覚えよう?」
にっこり。
おい、なんだこの超展開。なんだそのエロフ理論!
言ってることはとんでもないのに造形が美しすぎて何か厳粛な神託を告げてる空気にすらなっている!! 恐るべしエルフの王族の美の暴力っ!
「……フィーナが心から嫌がるのならさすがに私も無理強いなんてしないけど……」
コルセットで盛り上げられたミルク色の丘にちゅっちゅっと唇を落としながら、紫の瞳が上目使いで私の心を見透かすように見つめる。その瞳を綺麗だと、その瞳の中にずっと私を映していて欲しいと思う。
「君はきっと私を拒まない」
確信を持った妖艶な笑みに、心臓がバクバクと騒いでうるさい。
そう。私はきっと、拒まない。拒めない。
「キスして。フィーナ」
唇。本来の姿に戻っても尚、紅いクロードの唇。
その色に魅せられてフラフラと自分のそれを重ねた。